ぱなっちの窓

階級社会

イギリスでは常に階級が感じられます。まず、使う言葉が違うのですぐにわかります。私などは、いまだに労働者階級の方と話しをするときには「全身が耳」くらいに構えてしまいます。そのくらいアクセントが違うのです。
日本で真面目に"アメリカ英語"を習ってきた人はかなりショックを受けるようです。きちんと英語を習得した翻訳者さんなどは特に、そのまったく聞き取れない言葉を耳にして、自信がガラガラと崩れ落ち凍り付いてしまうらしいです。

労働者階級はご想像の通り、肉体労働者(それとも職人といいましょうか)系の家の人です。中産階級は主にデスク・ワーク系。上流階級は毎日パーティーを開いている人でしょうか?周りに存在しないので、分かりません。
階級差は貧富の差を元にしている訳ではないので、労働者階級が貧乏系というわけでは、決してありません。また、労働者階級出身の子供がデスク・ワークをしていても労働者階級。中産階級出身者がレンガを積んでいても、中産階級です。その下の世代がそのまま仕事を続ければ階級がかわることもあるでしょうが、それは稀です。
中流階級の中も三層くらいに分かれていて、これはかなり貧富の差があります。上流階級には一生上がれませんからね。中流の上となったら、それはすごいです。

最近政府は、地域別大学進学率を発表しました。これにより、「貧困層に高等教育を」とした援助金や学資ローンの見直しを迫られています。
ある道路を隔てて片側の進学率は高く、片側はほぼ0。片側は中産階級街。もう片方は労働者階級街。もちろん中産階級の方が高い進学率を示したのです。
大学進学には莫大なお金がかかりますから、もちろん富裕層の方が進学する機会に恵まれることとなります。ですが、政府は、成績がいいけれども経済的に恵まれない生徒達にも、進学のチャンス(援助金)を与えていたはず。何故、これほどに差が出てしまったのでしょう?これは、労働者階級の子供達は、成績が良くても、必ずしも進学をしたいと思うとは限らないからです。父親の仕事を継ぐには、高等教育は必要ないのです。変化の嫌いな国民ですからね、現状に安住する傾向が顕著なのです。
また、そのような生徒が大学に進学したとしても、もともとそれほど進学の必要性を感じていなかった故、その授業についていけなくて、退学してしまうケースが多いのです。これでは、公的資金のむだ使いと、見直しを迫られる結果となりました。

このように、現状維持で満足しがちなイギリス人達ですから、町に出れば、職業は民族によってきれいに色分けされていることに、容易に気づくはずです。
例えば、GP(医師):白人、歯科医・眼科医:アジア人、薬剤師:アジア人、道路掃除人:黒人、ローカル・ショップ:アジア人、銀行員:白人と言った具合に。
こんな風ですから、ぽんっと入ってきた外人にも階級意識は日々びしびし伝わってきます。

ところで、移民達はどの階級に入るのでしょう?有色系民族は労働者階級から始まるようです。ですが、I/P系の人々は頑張り屋さんなので、瞬く間に財をなしてしまいますね。中東の人々は上流中産階級でしょうか。お金持ちなので。東欧を除くヨーロッパ人や東洋人は中産階級。高学歴なことが多いので。東欧人はrefugeeとしてイギリス人から嫌われ、蛇頭に導かれた中国人は、本国以上に悲惨な生活を強いられ、酷い扱いを受けています。階級以前の問題ですね。

そんな下層中産階級な私は、公営住宅入居を目論んでいて、労働者階級落ちです。中流階級のイギリス人はどんなに貧しくても、"Council House"に申し込むことはありません。それが、低所得者の象徴だから。
中流階級は"Property ladder"を登るのを良しとしています。小さなフラットから始めて、数年毎に大きな家に買い換えていく。「家のはしご」です。
上流中産階級、上流階級の人々はそんな「はしご」を登らずとも、最初から邸宅を構えるのです。あきれるほどの邸宅を。そして一億総中流階級民族は、「日本には、上流階級は天皇家以外には存在しないな。」と思い知らされるのです。


© Rakuten Group, Inc.